資源を有効活用する熱回収とは

熱回収とは、廃棄物を焼却する際に出る熱を回収して、エネルギーとして利用することを指します。廃棄物の焼却施設で発生する熱量は大きいため、この廃熱を利用する施設を焼却施設に併設することで熱を放出するだけでなく、新たなエネルギー源とすることが既に実用化されています。よく知られているのが、廃熱を利用して発電用のタービンを駆動させ、電力として回収する廃棄物発電です。ゴミの排出量が多い都市部では焼却時に高い熱が出るプラスチックゴミを都市資源として活用して発電に利用しています。

プラスチックごみは化学処理を行うことで油の状態に戻せば資源として再利用(ケミカルリサイクル)できますが、製品としてのプラスチックは製品ごとに異なる多種の原料を混合しており、これをケミカルリサイクルするには、厳密なゴミ分別が前提となるため、これを一般の消費者が行うことは困難です。また、プラスチックは比重が軽いため、ゴミとなったカラ容器などをトラック輸送で回収してもわずかな重量しか集めることができず、再生される油より回収に必要な燃料のほうが過大になり、リサイクルの意味をなさないため、プラスチックは焼却して熱回収するのが現状では環境負荷の少ない解決策であるとされています。かつてはプラスチック焼却でダイオキシンが発生して健康被害が出るとの報道もありましたが、最近ではこれらの物質を生成しない焼却設備が普及しており、熱回収そのものは一般的なエネルギー活用技術として認められています。今後はより効率を上げることや、熱の有効な利用法の開拓が求められています。